想像してなかった返事
新学期が始まってから9日目。ある出来事があった。国語の授業でふりかえりを書いているときのことだった。机間指導をしていると、ある女の子がノートを隠していた。たぶん書いていないんだろうなと思い、声をかけた。
「かくさないでいいよ。書くことわからない?黒板のあそこを考えてみて」
すると想像していなかった言葉が・・・
「くそ」
その瞬間、「えっ?」と正直驚いた。そんな言葉づかいをする子と思っていなかったからだ。そのときは授業の最後だったので、一言声をかけて、一度授業をやめた。授業がおわってからすぐ「〇〇さんおいで」といって隣の教室で話をした。
「くそっていった?馬鹿にするような言葉つかわんかったか?」
「いってない」
「絶対聞こえたんよ。先生学級開きのときに鬼になることがあるよって言ったよね?人をばかにすることをしたとき。うそをついたとき。命を大切にしないとき。覚えてる?」
「くそとはいってないけど・・・」
ボクはその「ないけど・・・」という言葉を聞いてなにか悪いことを言った自覚があるなと悟った。それと同時に聞き間違えだったかもとも感じた。そしてその子に聞き続けると
「うるせぇっちいいました…」
と涙目で言った。それが本当かどうかはわからないが悪い言葉をつかったということはしっかり教えてくれたのでうれしかった。
「去年の先生にもそんなことば使ってたん?」
「使ってない。」
「じゃあ先生だけにそんなことば使うんやな?馬鹿にするようなことば使うんやな?最初にもいったけど、嘘ついたりすると信じたくても信じれんくなるんよ」
「別に信じてもらわんでいいし」
その言葉が衝撃だった。想像していなかった。ついつい声をあげて「それでいんやな!?」と叱ってしまった。その瞬間、頭の中で怒りと後悔がこみ上げてきた。
そのあとは、フォローを心掛けた。その子のいいなと思っていたことやいつも丁寧ですごいと思ってたからそのことばを聞いて残念だったことを伝えた。話を聞きながらピアノを弾くような仕草をしていたので、「ピアノも弾けるの?」と声をかけた。自分もピアノを習っていたので、ボクの失敗談やもうやめなさいと言われたことなど自分のことも話した。そんなことをしながら落ち着かせて、最後はボクの気持ちも伝えた。
「先生は〇〇さんから信じてもらえんでもいいんよ。おうちの人から家まで安全に帰してくださいって言われてるから、先生は先生ができることをするだけ。○○さんがどう思っていようが、先生は〇〇さんを信じてるし、それは変わらない。ただ、これから気持ちを変えてがんばるのか、今日みたいに馬鹿にするようなことばを使ってすごすかは教えてほしい。先生も覚悟せんとわるいけん。どっちかな?気持ちかえて頑張るか?」
「うん(うなずいた)」
とりあえず落ち着いたが、その次の日から休校だったため、次学校にきたときにしかこれがよかったのか悪かったのかわからないなと思っている。
どんな失敗があったの?
今回のエピソードで失敗したことは
- 聞き間違えをしていた可能性。
- 必要以上な声をあげた叱り方。
- 高学年女の子の配慮不足。
失敗1【聞き間違え】
最初「くそ」と聞こえた。そのあと「うるせぇ」と言っていたことがわかった。それが本当かどうかは今でもわからない。しかし、それが本当だったとしたら、疑いの段階で叱ることをしていまった。普段からボクは、周りの子や本人に確かめてから叱るようにしている。しかし、今回は自分が聞こえた時点で指導をしてしまっていた。
失敗2【声を上げて叱る(必要以上)】
声をあげて叱ることも必要な場面はある。しかし、今回は声を上げて叱る必要がなかったと感じている。たしかに馬鹿にするような言動だったが、命を大切にしていないわけではない。もちろん演技して叱ることがほとんどだが、その叱る強弱はきちんと判断しないといけない。
失敗3【高学年の女の子】
低学年の子は叱るとすっと頭の中に落ちる。しかし、高学年にただ叱るだけでは「面倒くさい」「うるさい」という印象しかのこらないことが多い。しかも信頼関係ができていない段階で声を上げて叱るのは失敗だと思っている。もう少し発達の段階を考えた指導が必要だと思う。
失敗を学びにするには?
これから同じようなシチュエーションがあった場合は、まず本人に確認する。そして、そのことばがよいのかわるいのかを聞く。さらに、短時間で先生はいやなことばだからやめてほしいという気持ちを伝えるようにしたい。その後何度も同じようなことがあったときには、少し演技レベルをあげて、今回のような指導でもいいかもしれない。そして、まだ高学年との関わり方に慣れていないので、発達の段階に合わせた指導法なども調べたいと思う。
ばいば~い