「一心同体」なクラスへの一歩
ある日、ケンカがあった。前日の学級会で「困ったことはまず自分たちで解決する」という学級の方針を子どもたちがつくっていたので、話し合いの時間をあげることにした。
「どうすればみんな仲良くできるかな」というテーマで話し合いは進んでいった。その中のアイデアとして「ミニ運動会をしよう」というものがでた。「ミニ運動会・・・おもしろそう!」とボクも単純にわくわくした。話し合いの最後に、ミニ運動会をするなら、しっかり係を作って開会式や閉会式もするように伝えた。ただの遊びになってしまっては意味がない。このチャンスを子どもたちの成長につなげたかった。
自主的・主体的な活動「教えるより導く」
デジタルハリウッド大学大学院 佐藤昌宏教授が作成している「教師の役割・4象限」というものがある。ボクはその考えにとても共感し、今後の教育現場でもっとも必要な考え方だと思っている。簡単にまとめると「教えるより導く」ということだ。
この考え方をもっていたボクは、ミニ運動会を企画していたときこんな競技はどうか、~した方がいいなどボクから企画をもっていくことはなかった。ボクは最低限のきまりだけ伝え、あとは自分たちで企画・運営するように伝えていた。
すると、遊び係を中心に係分担やチーム決め、放送原稿や準備物の用意、競技の提案などすべてを企画し提案してくれた。そしてその案に対してみんなも賛成し、ミニ運動会に向けての準備がはじまった。ボクがしたことは「場の設定」だけだった。
ミニ運動会で見えた成長
当日開会式がはじまり、放送や司会などスムーズに進んでいった。競技がはじまり、音楽や子どもたちの実況がとても素晴らしい空間をつくっていった。
子どもたちの目もきらきらしていた。今年は感染症対策もしなければいけなかったので、子どもたちはいろんな工夫をして競技を考えてくれた。終盤には、反則があり話し合いが始まった。そして、再試合が決定した。なにかトラブルがあったときに、話し合いをして解決し次につなげる力がいつの間にか子どもたちには育っていた。うれしかった。
最後の結果発表では、おしくも2位になったチームの子が泣いて悔しがっていた。それを見たとき、「それだけ真剣に企画し真剣に勝負していたんだな」と思った。ただの遊びではなく、しっかり子どもたちの成長につながる活動ができた。
まとめ
ミニ運動会を通して、子どもたちの自主的、主体的に活動する力が育っていくことがわかった。そしてボクがあまり介入しなくてよかったと思った。どしてもボクが教えないといけない、こっちの方が楽しいからルールを変えてもらおうなど口を出しすぎるとその活動は子どもたちのものではなく、教師のものになってしまう。そうなると、子どもたちは、今回のような楽しさやわくわくはなかったと思う。
今回ボクは「教師は裏方でいい」ということを子どもから教えてもらった。「子どもに教えるのではなく、導く」その考えを自分のこれからの軸にして教育に関わっていきたい。